胆嚢とはどんな働き・
役割をしている?
胆嚢は、みぞおちと右脇腹のあいだ、身体の奥の方にある消化器です。長さ7~10cm程度で、洋梨のような形をしています。容量は50〜60mlで、ここに肝臓で作られた胆汁が一時的に蓄えられ、濃縮されます。そして食事をした時だけ、胆汁が十二指腸へと流れるようになっています。
つまり胆嚢の役割とは、「肝臓で作られた胆汁を貯めておき、食事のタイミングに合わせて出荷する」ということになります。
肥満・女性に多い!?
胆石症とは
胆石症とは、胆汁の成分が石になり、胆嚢、胆管に溜まってしまうという、太っている方、女性、中高年の方に多い病気です。
炎症を起こしている場合には、薬物療法、内視鏡的治療、手術などが必要になります。
胆石症の主な原因
胆汁が胆嚢で濃縮される際に、その成分に偏りがあったり、細菌によって成分が分解されることで結晶化が起こり、石となります。そして胆汁を十二指腸へと流す時、その出口に胆石が引っかかり、胆嚢の内圧が上昇することで痛みが発生します。
胆石症の症状
主に、以下のような症状が見られます。ただし、無症状の方も少なくありません。
- 腹痛(みぞおち、右上腹部)
- 痛みが右肩へと広がる
- 悪寒
- 発熱
- 食欲不振
- 黄疸
胆石症になりやすい人
- 太っている方
- 女性
- 40歳以上の方
- 多産婦(5回以上分娩した方)
胆石症の検査
胆石症が疑われる場合には、血液検査、腹部超音波検査を行います。
血液検査
胆石発作に伴い、血液検査の炎症反応、GOT、GPT、ALP、LAP、γ-GPTなどの値の上昇が認められます。
黄疸、急性膵炎を合併した場合には、ビリルビンやアミラーゼの値の上昇も見られます。
腹部超音波検査(腹部エコー)
超音波検査で、結石はほぼ確実に描写ができます。
画像検査としてはその他、胆嚢周囲の炎症や石灰化胆石の発見に有用なCT検査、総胆管結石の検出に有用な経静脈的胆道造影法(DIC)、磁気共鳴胆道膵管造影法(MRCP)などがあります。
胆石症の治療
薬物療法、内視鏡的治療、手術(腹腔鏡・開腹)などがあります。
薬物療法では、内服薬によって胆石の溶解を図ります。ただし、特定の石にのみ有効な治療であり、溶解できる割合は全体の数%に留まります。
内視鏡的治療では、胃カメラ検査を十二指腸まで挿入し、乳頭を切開して結石を取り出します。
自覚症状がない?
胆嚢ポリープとは
胆嚢に発生した隆起性のある病変のことを「胆嚢ポリープ」と言います。
ほとんどが良性ですが、稀に悪性化することがあります。また症状についても、ほとんどが自覚されません。
悪性かつ進行した場合には、以下のような症状が見られます。
- 発熱
- 倦怠感
- 黄疸
など
胆嚢ポリープの種類
胆嚢ポリープは、以下のようにいくつかの種類に分けられます。ただし全体の90%以上を、良性のコレステロールポリープが占めます。
コレステロールポリープ
数ミリ程度の良性ポリープが胆嚢内で多発します。
腺腫性ポリープ
ほとんどが良性ですが、一部悪性化することがあるため、経過観察が必要になります。
過形成ポリープ
胆嚢上皮の過剰な増殖によってできた、良性のポリープです。
炎症性ポリープ
慢性胆嚢炎などを原因として、粘膜細胞が増殖して発生する良性のポリープです。
胆嚢がん
早期に発見できれば、適切な治療により根治が可能です。一方で進行した場合には、根治が難しいのが現状です。
胆嚢ポリープの原因
はっきりとした原因は分かっていません。しかし、肥満、脂質代謝異常、耐糖能異常などが発症に影響しているのではないか、と言われています。
また、胆嚢炎が原因となることもあります。
胆嚢ポリープはどのように見つかる?
ほとんどが無症状であることから、健康診断、人間ドックにおける超音波検査で偶然発見されるケースが多くなります。
ただし、内臓脂肪が多い場合には、身体の奥にある胆嚢をうまく描出できないことがあります。
胆嚢ポリープの検査
血液検査
肝機能や胆道系酵素の異常を調べたり、腫瘍マーカーのチェックをするための補助的な検査となります。
腹部超音波検査(腹部エコー)
胆嚢ポリープの診断における標準的な検査です。痛み、被ばくが一切ないため、妊娠されている方、お子様でも安心して受けられます。
超音波内視鏡検査
内視鏡の先端に超音波検査機器を取り付けて、胃カメラ検査のように挿入していきます。通常の腹部超音波検査よりも、より詳細な情報が得られます。
胆嚢ポリープの治療
胆嚢ポリープの治療では、手術が行われます。ただし、すべての方に治療が必要になるわけではありません。
治療が必要になる方
- 胆嚢ポリープの大きさが10ミリを超えている
- 経過を観察する中で以前より大きくなり悪性化が懸念される
- ポリープの茎の幅が広い
- 胆嚢がんが疑われる
胆嚢ポリープは多くが良性ですが、一部悪性化することがあります。経過観察となった場合も、必ず定期的に超音波検査を受けましょう。
その他、腫瘍マーカー(血液検査)で悪性の可能性が否定できないという場合にも、精密検査を受けることをおすすめします。
手術
腹腔鏡下または開腹にて、胆嚢を摘出します。
腹腔鏡の方が侵襲は少なくなりますが、悪性の疑いが強い場合などは、開腹手術が選択されます。