胃がんの症状や原因
初期は自覚症状がない!?胃がんとは
胃がんとは、胃粘膜のがん化した細胞が増殖を繰り返して発生する悪性腫瘍です。
日本人のうち、男性では10人に1人が、女性では20人に1人が生涯に一度は胃がんを罹患するため、がんの中では比較的身近な存在と言えます。
初期にはほとんど無症状ですが、定期的な胃カメラ検査によって早期発見することができます。
胃がんの症状チェック
- 胃やみぞおちの痛み
- 胸やけ、胃もたれ
- 吐き気
- 食欲不振
- 体重減少
- 黒色便(タール便)、吐血
病変部からの出血がある場合には、黒い便や吐血が見られたり、便潜血検査で陽性になったりします。
胃がんの原因や要因
胃がんの原因には、以下のようなものがあります。
ピロリ菌感染
ピロリ菌は、一度感染すると除菌治療を受けない限り、胃に生息し続けます。そして粘膜を少しずつ傷つけ、慢性胃炎・萎縮性胃炎を経て、胃がんを引き起こすことがあります。
ピロリ菌が原因になる消化管疾患としては、他に胃潰瘍や十二指腸潰瘍があります。
塩分の摂り過ぎ、野菜・果物の摂取不足
塩分の摂り過ぎ、野菜・果物の摂取不足といった食習慣の乱れは、胃がんのリスクを高める要因になると言われています。
喫煙
喫煙をする人は、しない人と比べて胃がんのリスクが約2倍高くなると言われています。
既往歴・家族歴
胃・十二指腸潰瘍の既往歴がある方、胃がんの家族歴がある方は、そうでない人と比べると胃がんのリスクが高くなると言われています。この差についても、ピロリ菌の関与が疑われます。
胃がんの検査・治療
胃がんの検査
胃がんが疑われる場合には、胃バリウム検査、胃カメラ検査が行われます。
ただし、胃バリウム検査では確定診断ができません。胃カメラ検査であれば、病変を直接観察し、組織を採取して病理検査・診断を行うことが可能です。
当院では、鎮静剤を用いた痛み・不安感の少ない胃カメラ検査を行っております。
胃がんの治療
胃がんは、早期に発見すれば内視鏡的な治療による根治も期待できます。
内視鏡的治療
内視鏡を用いて、病変部を切除します。
内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術などの術式がありますが、いずれも手術と比べて身体への侵襲が少なくなります。
手術
ある程度進行している場合には、手術が必要になります。
手術の中でも、腹腔鏡を使った低侵襲手術の適応となることがあります。腹腔鏡での手術が難しい場合には、開腹手術が行われます。
化学療法
薬剤の内服や点滴による治療です。
手術後の補助的な治療、あるいは手術ができない場合の治療となります。
食道がんの症状や原因
喫煙が影響する?!食道がんとは
食道粘膜に発生する食道がんは、喫煙・飲酒を二大原因とするがんです。喫煙・飲酒の両方の習慣がある方は、特にリスクが高くなります。
がんの中でも、浸潤・転移が起こりやすい一方、初期症状に乏しいというこわさがあります。
食道がんの症状チェック
- 喉の痛み、違和感
- 声枯れ、咳
- 食べ物が喉につかえる感じ
- 胸痛
- 背部痛
- 食欲不振、体重減少
初期にはほとんど症状がなく、ある程度進行してから上記のような症状が現れます。
食道がんの原因・なりやすい人
喫煙・飲酒が食道がんの二大原因となります。そのため喫煙か飲酒のどちらかの習慣がある方、両方の習慣がある方は、そうでない人と比べると食道がんのリスクが高くなります。
その他、熱すぎる食べ物をよく食べる人、逆流性食道炎を放置している人も、食道がんのリスクが高くなります。
お酒を飲むと顔が赤くなる人は食道がんになりやすい!?
お酒を飲むと、体内ではアセトアルデヒドという発がん性物質が発生します。お酒を飲んですぐ顔が赤くなる人は、このアセトアルデヒドを分解する能力が低い(アセトアルデヒド脱水素酵素の活性が弱い)ため、アセトアルデヒドが体内に長く留まることとなり、そうでない人と比べると食道がんになりやすい、ということが言えます。
食道がんの検査・治療
食道がんの検査
食道がんが疑われる場合には、バリウム検査、胃カメラ検査などが行われます。
ただ、バリウム検査では確定診断には至らず、結局は胃カメラ検査を受けることになります。胃カメラ検査であれば、食道や胃・十二指腸の粘膜を直接観察し、疑わしい病変を採取して病理検査を行うことが可能です。
当院では、痛みや不安感のほとんどない、鎮静剤を用いた胃カメラ検査を行っております。
食道がんの治療
食道がんの治療には、内視鏡的治療、手術、化学療法・放射線療法などがあります。
早期であれば、内視鏡的治療による根治が期待できます。
内視鏡的治療
内視鏡を用いて、食道がんを切除します。
内視鏡的粘膜切除術、内視鏡的粘膜下層剥離術などの術式から、病態に合わせた方法を選択します。
手術
ある程度進行している食道がんの場合には、手術が必要になります。
化学療法・放射線療法
化学療法や放射線療法は、手術と組み合わせたり、手術ができない場合の治療法となります。
大腸がんの症状や原因
増加傾向!?大腸がんとは
大腸がんは、大腸ポリープががん化したり、大腸粘膜に直接発生したりするがんです。食生活の欧米化などにより、罹患者数は増加傾向にあります。
2022年の国内のがんの臓器別死亡者数を見ると、大腸がんは女性で1位、男性で2位を占めており、私たち日本人にとって身近ながん、そしてこわいがんと言えます。
現在、大腸がんの早期発見のためにもっとも有効となるのが、大腸カメラ検査です。気になる症状がある方、便潜血検査で陽性だった方はできるだけ早く、40歳以上であったり大腸がんの家族歴があるなどリスクの高い方は1年に1回の大腸カメラ検査をおすすめします。
初期には自覚症状がない!?大腸がんの症状チェック
初期の大腸がんには、ほとんど自覚症状がありません。以下のような症状に1つでも当てはまる場合には、必ず医療機関を受診してください。
- 血便が出た、便潜血検査で陽性
- 便が細くなった
- 下痢または便秘が続いている
- 下痢と便秘を繰り返している
- 食欲不振
- 体重減少
- 貧血
健康診断、大腸がん検診などで受ける便潜血検査で陽性が出た場合にも、必ず精密検査として大腸カメラ検査を受けてください。
大腸がんの原因・なりやすい人
大腸がんの原因には、脂肪やタンパク質の摂り過ぎ・食べ過ぎ・食物繊維の不足などの食生活の欧米化が第一に挙げられます。その他、運動不足、肥満、喫煙なども、大腸がんのリスクを高くすると言われています。
食生活や生活習慣が乱れている人、太っている人、大腸ポリープ・大腸がんの家族歴がある人は、特に注意が必要です。
また、糖尿病を患っている方は大腸がんのリスクを増加させる可能性があります。そのため、定期的に大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。
※糖尿病の患者様は、経口血糖降下薬やインスリンなど血糖値をコントロールするお薬を使用されている方は、事前にお申し出ください。
40代以上は大腸がんリスクが増加する
大腸がんの罹患者数は、40代から徐々に増え始め、50代でさらに急激に増え、60代でピークを迎えます。
そのため、40歳以上の方は、特に症状がなくても年に1回は大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。
大腸がんの検査・治療
大腸がんの検査
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)
現在、大腸がんの早期発見においてもっとも確実性が高いのが、大腸カメラ検査です。内視鏡を肛門から挿入し、大腸全体の粘膜を観察することができます。必要に応じて、組織を採取し病理検査を行います。
また当院では、がん化のおそれのある大腸ポリープをその場で切除することも可能です。鎮静剤を用いた痛み・不安感のほとんどない大腸カメラ検査を行っておりますので、どうぞ安心してご相談ください。
便潜血検査
簡便で費用が抑えられることから、自治体などの大腸がん検診などでも採用されている検査です。便を採取し、そこに血液が混じっていないかを調べます。
ただ、陽性であった場合も確定診断には至りません。精密検査として大腸カメラ検査を受ける必要があります。また、大腸がんは必ず出血を伴う病気ではないため、「陰性であったから大腸がん(やその他の病気)ではない」と言い切ることはできません。
あくまで、大勢の中からリスクの高い人を検出するスクリーニング検査です。
大腸がんの治療
早期の大腸がん、進行した大腸がんでは、治療法が異なります。
早期がん
がんの範囲が粘膜内または粘膜下層に留まる場合には、内視鏡的な切除が可能です。
ただし、広範囲である場合などは、手術が必要になります。
進行がん
固有筋層よりも深くまで広がっている場合には、周囲の血管・リンパ管への浸潤、リンパ節へ移転している可能性が高くなるため、原則として手術が必要になります。
また転移がある場合などには、化学療法も必要になります。