- 胃腸炎はうつる?胃腸炎とは
- 胃腸炎の感染経路は?
キスでもうつる? - 胃腸炎の2つの主な原因
- 胃腸炎の主な症状
- ウイルス性胃腸炎の
主な症状・感染源・潜伏期間 - 細菌性胃腸炎の主な症状・
感染源・潜伏期間 - 胃腸炎の検査
- 胃腸炎の治療
- 胃腸炎をうつさないために
感染予防しましょう
胃腸炎はうつる?
胃腸炎とは
重症化することもあるため、胃腸炎とおぼしき症状が出た時には、必ず医療機関を受診し、診断と治療を受けましょう。また感染性胃腸炎であった場合には、まわりの人へとうつさないようにする対策が必要です。
胃腸炎の感染経路は?
キスでもうつる?
人から人への感染
感染者が手で触れた「物」、感染者の「嘔吐物・便」などに触れ、その手で口を触る・食事をするといったことでまわりの人に感染します。嘔吐物に関しては、飛沫感染・空気感染をすることもあります。当然、キスでも感染は起こります。
感染しているけれど発症していないという人も感染源となるため、注意が必要です。
汚染された食品や
水による感染
汚染された食品、水などを食べたり飲んだりすることで感染します。
食品においては、貝類を十分な加熱処理を経ずに食べてしまい感染するケースが多くなります。
胃腸炎の2つの主な原因
感染によるもの
ウイルス
- ノロウイルス
- ロタウイルス
- アデノウイルス
- サボウイルス
細菌
- カンピロバクター
- サルモネラ菌
- 出血性大腸炎
- 腸炎ビブリオ
- 黄色ブドウ球菌
寄生虫
- アニサキス
- クドア
感染以外のもの
食べ物アレルギー
- 牛乳
- 卵
- 小麦
- ソバ など
科学薬品
- 殺虫剤
- ヒスタミン など
薬剤
- 抗菌薬
- 制酸剤など
自然毒
- 毒キノコ
- ふぐ毒
- 貝毒 など
ストレス
胃腸炎の主な症状
原因によって多少異なりますが、胃腸炎の主な症状は、嘔吐、下痢、発熱です。その他、血便、頭痛などの症状が見られることもあります。
嘔吐・下痢・発熱はいずれも体内の水分を奪う症状であるため、脱水症状には十分に注意しなければなりません。
- 嘔吐
- 下痢
- 発熱
ウイルス性胃腸炎の
主な症状・感染源・
潜伏期間
ウイルス感染を原因として起こる感染性胃腸炎のことを「ウイルス性胃腸炎」と言います。ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどによって引き起こされる胃腸炎のことです。ウイルス性胃腸炎は、感染性胃腸炎の約90%を占めています。 原因となるウイルスによって、症状や回復までの目安、潜伏期間などが異なります。
ノロウイルス
症状や回復までの目安
- 吐き気・嘔吐、下痢、腹痛、発熱など
- 通常は3日程度で回復
感染源
- 貝(特にカキなどの二枚貝)
- 感染者の触れた物
- 感染者の嘔吐物、便
潜伏期間:1~2日
流行時期:主に11月~3月
ロタウイルス
症状や回復までの目安
- 吐き気・嘔吐、発熱、腹痛
- 白く水っぽい下痢
- 通常は1~2週間で回復
感染源
- 感染者の触れた物
- 感染者の嘔吐物、便
- 汚染された食品、水
潜伏期間:1~4日
流行時期:主に2月~5月
アデノウイルス
症状や回復までの目安
- 嘔吐
- 白色~黄色っぽい水のような下痢
- 通常は1~2週間で回復
感染源
- 感染者の触れた物
- 感染者の嘔吐物、便
潜伏期間:1~3日
流行時期:年間
サポウイルス
症状や回復までの目安
- 吐き気・嘔吐、下痢、腹痛、発熱
- 通常は1~2日程度で回復
感染源
- 貝(特にカキなどの二枚貝)
- 汚染された水
- 感染者の触れた物
- 感染者の嘔吐物、便
潜伏期間:1~2日
流行時期:主に10月~4月
細菌性胃腸炎の主な症状・
感染源・潜伏期間
細菌感染を原因とする胃腸炎のことを、「細菌性胃腸炎」と言います。細菌は6~8月頃に活発になるため、流行もその時期に起こることが多くなります。感染性腸炎全体に対する割合は低く、1割未満と言われています。
ウイルス性胃腸炎と異なり抗菌薬が有効となりますが、使用せずに自然治癒を待つケースもあります。
カンピロバクター
症状や回復までの目安
- 腹痛、下痢、発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛
- 通常は3~6日で回復
感染源
- 鶏肉の生食や加熱不足
- サラダなどの生野菜
- 井戸水
潜伏期間:1~7日
サルモネラ菌
症状や回復までの目安
- 腹痛、下痢、吐き気・嘔吐、38℃以上の発熱
- 通常は2~7日で回復
感染源
- 卵、卵の加工品
- 鶏肉などの食肉調理品
- 鰻、スッポン
潜伏期間:6時間~3日
出血性大腸炎(O-157)
症状や回復までの目安
- 腹痛、下痢、血便
- 通常は10日ほどで回復
感染源
- 牛肉、牛肉加工食品
- 井戸水
- サラダなどの生野菜
- 漬物
潜伏期間:4~8日
腸炎ビブリオ
症状や回復までの目安
- 強い腹痛、下痢、発熱、吐き気・嘔吐
- 通常は2~5日で回復
感染源
- 魚介類の生食
- 手、調理器具からの二次感染
潜伏期間:8時間~1日
黄色ブドウ球菌
症状や回復までの目安
- 吐き気・嘔吐、下痢
- 通常は1~2日で回復
感染源
- 握りずし、おにぎり
- 肉、卵、乳製品
- 菓子
- 他多数の食品
潜伏期間:30分~6時間
胃腸炎の検査
胃腸炎の治療
薬物療法、安静・食事療法の指導などを行います。 また、食品や薬のアレルギーがある場合には、その食品を避ける、薬を変更するなどの対応が必要です。
薬物療法
症状に応じて、胃酸の分泌を抑える薬、粘膜を保護する薬、吐き気を抑える薬、整腸剤などを使った薬物療法を行います。なお下痢止めについては、脱水症状のリスクがあるような重度の下痢に限って処方します。下痢を止めると、病原体の排出を遅らせてしまうためです。
細菌性であることが疑われる場合には、抗菌薬を使用することも可能です。
安静・食事療法
ご自宅で安静にし、絶食にして胃腸を休ませます。ただしその間も、小まめな水分補給を行うようにしてください。嘔吐・下痢・発熱といった症状がある場合には、特に脱水症状のリスクが高くなります。水分と塩分を摂れる経口補水液(OS-1)がおすすめです。水分摂取さえ難しいという場合には、点滴・入院が必要になります。
その後、症状が落ち着いてから、消化の良いものを少量ずつ摂るようにします。
胃腸炎をうつさないために
感染予防しましょう
感染性胃腸炎は、治療を開始してからも、まわりの人へとうつしてしまう可能性があります。以下のような点に気をつけ、感染を予防しましょう。
小まめな手洗い
トイレの後、嘔吐物・便の処理後、食事前には必ず石鹸で手を洗ってください。ご自身だけでなく、ご家族にも同じ対応をしてもらいます。
また、タオルの共用はせず、タオルを分けるか、ペーパータオルを使用するようにしてください。
嘔吐物・便の処理
使い捨ての手袋、マスクを着用の上、ペーパータオルで嘔吐物や便を拭き取り、新しく用意したゴミ袋に入れます。ゴミ袋はすぐに口を縛り、破棄します。
床などは、消毒液で清拭します。すばやく処理すること、乾燥させないこと、消毒することが大切です。乾燥すると、宙に舞い空気感染の原因となります。
食材の調理、調理器具の
取り扱いについて
まず感染者は、調理をしてはいけません。調理をするご家族の方は、次のようなことに気をつけてください。
- 石鹸で手洗いをした上で調理を行います。
- 野菜、果物は、水道水でよく洗ってください。
- 湯通しではウイルスは死滅しません。カキなどは、中心部まで85℃以上で1分以上の加熱を行ってください。
- 使用した調理器具は食器用洗剤でよく洗った上で、熱湯または塩素系漂白剤で消毒をしてください。
お風呂の入り方について
感染者がお風呂に入る場合には、以下のような点に気をつけてください。
- 感染者は家族の中で最後に入ってください。
- 感染者は、お湯に浸かる前に、お尻を石鹸でよく洗ってください。
- 浴槽の湯は毎日抜いてください。また浴槽、床、洗面器、椅子などもよく洗ってください。
- 身体を洗うタオル、バスタオルは家族と共用しないようにします。また、バスタオルは一度使ったら洗濯をしてください。