肛門周囲膿瘍とは
肛門周囲膿瘍とは、直腸と肛門の境目にある歯状線で細菌感染・炎症を起こし、肛門の周囲に膿が溜まる病気です。外側から見ても赤い腫れが認められ、肛門から膿が出ることもあります。
放置していると、お尻の皮膚側とつながるトンネルを形成する「あな痔(痔瘻)」へと進行する病気としてもよく知られています。
症状に気づいた時には、お早めにみずかみクリニックの肛門科にご相談ください。
肛門周囲膿瘍の主な症状
肛門周囲膿瘍には、以下のような症状が見られます。
- 肛門のまわりの赤い腫れ
- 腫れを押した時の痛み
- 肛門周囲~腰の鈍い痛み
- 肛門から膿が出る
- 発熱(38℃以上)
- 排便障害
肛門周囲膿瘍の原因
肛門周囲膿瘍は、肛門と直腸のあいだにある歯状線で細菌感染・炎症を起こすことで発症します。
その原因には、以下のようなものが挙げられます。
下痢・便秘
下痢、便秘の繰り返しは、歯状線に傷を発生させ、細菌感染のリスクを高めます。
免疫力の低下
免疫力が低下した時には、細菌感染が起こりやすくなります。
その他
その他、ストレス、アルコールの飲み過ぎといった生活習慣の乱れ、クローン病・潰瘍性大腸炎・大腸がんなどの疾患が原因になることもあります。
肛門周囲膿瘍に
なりやすい人の特徴
原因から考えると、以下のような人は、そうでない人と比べると肛門周囲膿瘍になりやすいと言えます。
- 下痢、便秘が続いている・放置している
- 頻繁に下痢、便秘になる
- いきむ癖がある
- デスクワーク、車の運転など、長時間の座りっぱなし
- 体力、免疫力が低下している
なお、男女ともに30~40代での発症が目立ちます。
肛門周囲膿瘍の検査
問診、視診、触診による診断が可能です。
ただし、膿瘍の状態の詳細な把握、あな痔(痔瘻)の有無の確認のためには、超音波検査が必要になります。
肛門周囲膿瘍の治療
肛門周囲膿瘍の治療には、薬物療法、切開排膿術があります。
薬物療法
痛みが軽く、膿の量も少ないという場合には、抗菌薬の内服を行います。
症状の改善と、膿瘍の縮小が期待できます。
切開排膿術
皮膚を切開し、溜まっている膿を排出する治療です。
その後のあな痔(痔瘻)の治療が必要になる可能性までを考慮して、切開する部位・角度などを決定します。これを考慮せずに切開をした場合、あな痔の治療が困難になることがあります。
当院では、あな痔の治療(手術)にも対応しております。安心してご相談ください。
よくあるご質問
肛門周囲が腫れて、38℃の発熱があります。何の病気でしょうか?
典型的な肛門周囲膿瘍の症状です。お尻の穴から膿が出る、ということはありませんか?手術が必要になる「あな痔」へと進行することがありますので、すぐに当院にご相談ください。
肛門周囲膿瘍が自然治癒するということはないのでしょうか?
軽度であれば、自然に膿が出て自然治癒するというケースがあります。ただそういったケースは稀であり、多くは繰り返し膿瘍が発生し、うち一部はあな痔へと進行します。
自然治癒を期待するのではなく、早めに肛門科のある医療機関を受診してください。
肛門周囲膿瘍を飲み薬だけで治すということは可能ですか?
抗菌薬の内服で、症状の改善と膿瘍の縮小が期待できます。ただし、これは根治的な治療ではありません。
ある程度の進行が認められる場合、症状が強く現れている場合には、お尻の皮膚を切開して膿を排出させる「切開排膿術」を行います。