- ストレスが原因!?逆流性食道炎とは
- 逆流性食道炎の主な原因
- 逆流性食道炎の症状チェック
- 逆流性食道炎になりやすい人の特徴
- 逆流性食道炎の検査
- 逆流性食道炎の治療
- 逆流性食道炎の時に右・左どっちで寝る方がよい!?
- よくあるご質問
ストレスが原因!?
逆流性食道炎とは
逆流性食道炎とは、胃酸や胃の内容物が繰り返し逆流し、食道粘膜で炎症を起こす病気です。胃酸に耐性のない食道の粘膜は、胃酸と触れるだけで荒れてしまうのです。
胸やけ、呑酸、喉に食べ物がつかえる感じなど、喉から胃にかけての症状が見られます。痛みなどが出ることは多くありませんが、長期にわたって繰り返し食道粘膜で炎症が続くことで、食道がんのリスクが高くなることが分かっています。
症状に気づいた時には、お早めに当院にご相談ください。
逆流性食道炎の主な原因
逆流性食道炎の原因は「下部食道括約筋の緩み」と「胃酸の過剰な分泌」
食道と胃の境目には、下部食道括約筋が存在します。逆流性食道炎は、主にこの下部食道括約筋の緩みと、胃酸の過剰な分泌を原因として発症します。
下部食道括約筋の緩み
加齢によって、下部食道括約筋は徐々にその働きを低下させます。それまで食事の時だけ開いていた下部食道括約筋が緩むことで、胃酸が逆流しやすくなるのです。
胃酸の過剰な分泌
食べ過ぎ、高たんぱく食・高脂肪食、アルコールやコーヒーなどの摂り過ぎは、いずれも胃酸の過剰な分泌を招き、胃酸が逆流しやすくなります。また、ストレスによって自律神経のバランスが乱れ、胃酸が必要以上に分泌されることもあります。
腹圧の上昇など
その他、不良姿勢、肥満などによる腹圧の上昇、加齢に伴う唾液の減少、薬の副作用が原因となって逆流性食道炎が引き起こされることもあります。
逆流性食道炎の症状チェック
- 胸やけ、むかつき
- 呑酸
- ゲップが多い
- 食べ物が喉につかえる感じ
- 喉のイガイガ
- 声枯れ
- 胃の張った感じ
- 食後の胃の不快感
- 早期飽満感
呑酸(どんさん)とは、胃酸や胃の内容物が口腔近くまでせり上がることで、苦さや酸っぱさを感じることを指します。また傾向として、症状は前かがみになった時に強くなります。
逆流性食道炎に
なりやすい人の特徴
原因から考えると、以下のような方が逆流性食道炎になりやすい、ということが言えます。
食習慣・生活習慣について
- 暴飲暴食をよくしてしまう
- 早食い、大食いの癖がある
- 食べ物をよく噛んでいない
- お酒をよく飲む
- コーヒーをよく飲む
- 夕食が遅い、就寝前に食べることが多い
- 喫煙をしている
年齢・姿勢・体型などについて
- 50歳以上
- 姿勢が悪い
- 仕事や趣味で前かがみの姿勢になることが多い
- 太っている
- 身体を締め付ける服、ベルトを着用することが多い
- 妊娠中である
過度な喫煙・飲酒は逆流性食道炎を引き起こす!?
過度の喫煙や飲酒は、逆流性食道炎のリスク因子の1つとなります。喫煙をしている人は禁煙を、お酒をよく飲む人はその量を控えるなどして、逆流性食道炎を予防しましょう。
喫煙について
喫煙は、胃酸の分泌を盛んにし、逆流性食道炎のリスクを高めます。一方ではまた、唾液の分泌を抑制するため、胃酸や胃の内容物が逆流してきた際に、より食道の粘膜が傷つきやすくなります。
飲酒について
アルコールは、下部食道括約筋の機能、さらには食道の蠕動運動を低下させることから、胃酸や胃の内容物の逆流が起こりやすく、同時に食道に留まりやすくなります。
逆流性食道炎の検査
症状、既往歴、服用中のお薬などについてお伺いした上で、胃カメラ検査を行います。問診・診察のみでも逆流性食道炎の見当はつけられますが、診断の確定、胃潰瘍、慢性胃炎、胃がんなど、似た症状を持つ疾患との鑑別のためにも、胃カメラ検査が必要となります。
当院では、痛みや不安感のほとんどない、鎮静剤を使った胃カメラ検査に対応しておりますので、初めての方、以前に受けた鎮静剤なしの胃カメラ検査が辛かったという方も、安心してご相談ください。
逆流性食道炎の治療
逆流性食道炎の治療では、薬物療法と生活習慣・食習慣の見直しが必要になります。
治療期間が終わってからも、再発防止のため正しい生活習慣・食習慣を維持しましょう。
薬物療法
胃酸の分泌を抑える薬、食道の粘膜を保護する薬、食道・胃の機能を正常化させる薬などを使用します。
薬の副作用が原因となっている場合には、その薬の使用の中止、種類の変更も必要です。
生活・食習慣の見直し
食べ過ぎ、高たんぱく食・高脂肪食・アルコール・コーヒーの摂り過ぎ、早食いなどは避けましょう。また、食後すぐ横になることも控えましょう。
また、不良姿勢、肥満、締め付ける服装など、腹圧の上昇を招く因子についてはできる限り除去しましょう。肥満の解消が必要となる場合には、食事療法に運動療法も組み合わせます。
逆流性食道炎の時に
右・左どっちで
寝る方がよい!?
就寝中に胸や胃の不快感が出るという場合には、ベッド・布団を調整して、上半身をやや高くして胃酸の逆流を防ぐという方法があります。
また、横を向いて寝る習慣のある方は、左を下にすることをおすすめします。食道と胃のつなぎ目の角度が鋭角になることで、胃酸や胃の内容物が逆流しにくくなります。
よくあるご質問
加齢に伴う下部食道括約筋の緩みが原因だそうですが、若い人でも逆流性食道炎になることはありますか?
逆流性食道炎は、50歳以上の方によく見られますが、食習慣や生活習慣に問題があれば、若い方でも逆流性食道炎を発症することがあります。加齢に伴う下部食道括約筋の緩みは、あくまで原因の1つです。
逆流性食道炎の再発を防止するためには、どのようなことに気をつけるべきですか?
治療では、薬物療法と生活習慣・食習慣指導が行われます。再発予防のためには、症状がまったくなくなり、薬物療法が終わってからも、改善した生活習慣・食習慣を継続することが大切になります。その他、適正体重を維持したり、前かがみの姿勢を避けるといったことも注意すべきポイントです。
逆流性食道炎の治療期間中、食べられないものはありますか?
アルコール、コーヒー、香辛料など、摂り過ぎない方が良いものもありますが、基本的に何かを完全に断つという必要はありません。食べ過ぎ、早食い、寝る前の食事などは避けましょう。
逆流性食道炎が自然に治るということはありますか?
皮膚の傷が自然に治るように、傷ついた食道粘膜も自然治癒が期待できます。ただし、逆流性食道炎ではその根本的な原因となる「胃酸の逆流」を防ぐ必要があるため、必ず医療機関で検査・治療を受けてください。似た症状を持つ胃潰瘍、慢性胃炎、胃がんなどの鑑別のためにも、症状が軽いからといって、自然治癒を期待した放置はおすすめしません。