粉瘤(アテローム)の
日帰り手術
当院の2つの日帰り粉瘤手術法
切開法
粉瘤の上の皮膚を紡錘形に切開し、袋状の構造物ごと摘出し、縫合します。
メリット
- 取り残しが少なく、再発リスクが低い
- 大きな粉瘤であっても対応できる
デメリット
- くりぬき法と比べると傷痕が大きくなる
くりぬき法
医療用のパンチ(トレパン)で皮膚に穴を開け、粉瘤の内容物、袋状の構造物の順で取り出します。縫合が不要になることもあります。
メリット
- 傷痕が小さく目立たない
デメリット
- 切開法と比べると再発率が高い
- 大きな粉瘤の場合には対応できないことがある
粉瘤(アテローム)とは
粉瘤とは、皮膚の下にできる良性の腫瘍です。何らかの原因によって皮膚の下に袋状の構造物ができ、そこに皮脂などが溜まることで、大きくなります。
体表であればどこにでも発生しうる腫瘍ですが、背中、顔、首、尻などによくできます。
こんな症状に該当しませんか?
- 皮膚の下にしこりのようなものができた
- しこりがだんだんと大きくなる
- しこりの中心に黒い点(開口部)がある
- 中心の黒い点から膿のようなものが出てきた
- しこりが赤くなり、痛い
初期症状は気づきにくい粉瘤(アテローム)
粉瘤は、時間をかけて少しずつ大きくなります。また、初期にはまわりの皮膚と同じ色をしていることが多く、なかなか気づけません。
しかし、放置していると以下のようなリスクが大きくなります。気づいた時には、お早めに当院にご相談ください。
大きくなり、治療(手術)をした場合も傷痕が目立ってしまう
最初は1ミリほどの大きさですが、放置していると数センチくらいまで肥大することがあります。肥大するほど、手術をした場合の傷痕も大きく、目立ちやすくなります。
炎症や色素沈着を起こすことがある
細菌が入り込んで感染・炎症を起こすと、赤く腫れ痛みを伴うようになります。指などで圧迫すると膿が出ますが、そのことが原因で色素沈着を起こすことがあります。また潰した場合も、構造物自体は残っているため、皮脂が溜まると再発します。
粉瘤(アテローム)の原因
粉瘤の原因、つまりなぜ皮膚の下に袋状の構造物ができるのかということについては、未だはっきりしたことが分かっていません。
小さな傷などをきっかけにして起こるケースもありますが、多くは原因不明です。
粉瘤が臭いのはドロドロした膿が原因?
粉瘤から嫌なにおいがする、ということがあります。その原因には、以下のようなものがあります。
中の皮脂のにおい
粉瘤の袋状の構造物の中には、皮脂などの老廃物が溜まっています。
この皮脂が腐敗するなどして、嫌なにおいを放つことがあります。
細菌によるにおい
皮膚に存在する常在菌の1つ、アクネ桿菌が袋状の構造物の中に入り込むと、皮脂をエサにしてプロピオン酸や脂肪酸をつくります。プロピオン酸や脂肪酸のにおいが、悪臭として漂うことがあります。
膿のにおい
細菌感染するなどして炎症を起こすと、袋状の構造物に膿が溜まり、その嫌なにおいを放つことがあります。
特に、指で押すなどして膿が排出されると、においが強くなります。
費用の目安
粉瘤の治療(手術)には保険が適用されます。
露出部かそうでないかによって、自己負担額に差があります。
露出部(頭・顔・首・肘から先・膝から下)
費用(3割負担の場合) | |
2センチ未満の粉瘤 | 5,310~9,990円 |
2~4センチの粉瘤 | 11,340~16,020円 |
4センチ以上の粉瘤 | 13,410~18,090円 |
露出部以外
費用(3割負担の場合) | |
3センチ未満の粉瘤 | 4,170~8,860円 |
3~6センチの粉瘤 | 10,020~14,710円 |
6センチ以上の粉瘤 | 12,810~17,500円 |
※表内の費用は手術費用です。別途、初診料、再診料、処方料、薬剤料などが必要です。
脂肪腫(リポーマ)の
日帰り手術
当院の脂肪腫(リポーマ)の日帰り手術
脂肪腫は、粉瘤とよく似た見た目をしており、だんだんと大きくなる、自然に治ることはないという点でも共通しています。
治療では、手術が必要になります。当院では、日帰りでの脂肪腫の手術を行っています。また、稀に悪性のものも見つかるため、疑わしい場合には切除後に病理検査を行います。
自然治癒しない脂肪腫(リポーマ)とは
脂肪細胞の異常な増殖によって発生する、皮膚と癒着しない(皮膚の下で動く)腫瘍です。ほとんどは良性ですが、稀に悪性のものが見られます。
体表のどこにでも発生することがありますが、背中、肩、お尻などで好発します。粉瘤とは異なり、押して潰れる、膿が出る、嫌なにおいがするということはありません。
いつのまにか大きく!?脂肪腫(リポーマ)の症状
痛みを伴わないしこりが、背中や肩、お尻などにできます。
放置しているとだんだんと大きくなり、10センチに達するケースも見られます。
脂肪腫(リポーマ)の原因
脂肪腫は、脂肪細胞の異常な増殖によって発生します。なぜそのような原因が起こるのか、はっきりしたことは分かっていませんが、染色体異常が影響しているのでは、という指摘があります。
費用の目安
脂肪腫の治療(手術)には保険が適用されます。
露出部かそうでないかによって、自己負担額に違いがあります。
露出部(頭・顔・首・肘から先・膝から下)
費用(3割負担の場合) | |
2センチ未満の粉瘤 | 5,310~5,910円 |
2~4センチの粉瘤 | 11,340~11,940円 |
4センチ以上の粉瘤 | 13,410~14,010円 |
露出部以外
費用(3割負担の場合) | |
3センチ未満の粉瘤 | 4,170~4,780円 |
3~6センチの粉瘤 | 10,020~10,630円 |
6センチ以上の粉瘤 | 12,810~13,420円 |
※表内の費用は手術費用です。別途、初診料、再診料、処方料、薬剤料などが必要です。
粉瘤と脂肪腫の
見た目や手触りの違いとは
よく似た姿をしている粉瘤と脂肪腫ですが、実際には見た目を含めさまざまな違いがあります。
見た目
「粉瘤」の中心部には小さな穴(黒い点)があります。また、まわりの皮膚と比べてやや暗い色をしています。炎症を起こし、赤くなることもあります。
「脂肪腫」には穴などはありません。まわりの皮膚と同じ色をしています。大きくなっても同様です。
手触り
「粉瘤」には多少の硬さがあります。“しこり”と表現できる腫瘍です。強く押した場合には、潰れて内容物や膿が出ます(炎症の原因となります。故意に潰さないでください)。
「脂肪腫」は、“脂肪のかたまり”と言われるようにやわらかい感触をしています。押しても潰れることはありません。皮膚との癒着がないため、横方向に多少動かすことができます。
経過・放置していると
「粉瘤」も「脂肪腫」も、放置していると次第に大きくなります。
大きくなるほど、手術の際に切開が長くなるため、傷痕が目立ちやすくなります。
治療法
「粉瘤」も「脂肪腫」も、手術が必要です。
みずかみクリニックでは、粉瘤・脂肪腫の日帰り手術を行っています。
粉瘤・脂肪腫の
日帰り手術の流れ
1診察
症状などをお伺いし、視診・触診を行い、診断します。超音波検査を行うこともあります。
手術の内容、術後の注意事項などについてお伝えし、ご同意が得られましたら手術へと進みます。
2手術
粉瘤も脂肪腫も、ほとんど変わらない流れで手術を進めていきます。
2-1.麻酔
局所麻酔をかけます。
極細の注射針を使うなどして、注射そのものの痛みもできる限り軽減しています。
2-2.手術
粉瘤・脂肪腫の手術を行っていきます。数・大きさにもよりますが、10~30分で終了します。
脂肪腫のうち、悪性の疑いがあるものについては病理検査を行います。
2-3.縫合
丁寧に縫合します。
粉瘤に対するくり抜き法の場合は、縫合が不要になることもあります。
3.抜糸やアフターフォロー
ご自宅での注意事項などをお伝えし、お帰りいただけます。
約1週間後、ご来院いただき、経過を観察します。なお基本的には抜糸不要の糸を使用し、見えないように縫合するため、毎日の消毒などは不要であることが多くなります。
ただし、手術時にすでに化膿していた場合、手術後に赤く腫れた場合などは、創部を小まめに観察し、必要に応じた処置を行います。
その他、何かご不安・ご不明のことがございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。
術後の注意事項
- 手術の翌日か2日後くらいまで、多少の痛みがあります。痛み止めを処方しますので、服用してください。
- 手術の翌日からシャワーが再開できます。入浴については、1週間ほどお控えください。
- 手術の翌日までは、飲酒、激しい運動をお控えください。
- 1週間後の診察には、抜糸が不要である場合も患部を確認するため必ずお越しください。